北海道立近代美術館

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特別展

星の瞬間

アーティストとミュージアムが読み直す、Hokkaido

端聡《液体は熱エネルギーにより気体となり、冷えて液体に戻る。そうあるべきだ》2017年、作家蔵 ※参考作品

現代アーティストと学芸員それぞれがピックアップした当館の「北海道の美術」コレクション、アーティストの自作、学芸員によるコレクション研究の成果を一堂に展示します。北海道美術史を複眼的に読み直す試み。企画協力はCAI現代芸術研究所/CAI03。

会場
北海道立近代美術館 展示室A 1階、展示室B

会期
2025年1月5日(日)~3月16日(日)
開館時間:9:30~17:00(入場は16:30まで)
休館日:月曜日(1/13、2/24を除く)、1/14(火)、2/25(火)
2025.01.05(日) - 2025.03.16(日)

見どころ

確率 19/3100の出合い。

北海道立近代美術館が所蔵する3,100点の「北海道の美術」コレクションから、アーティストと学芸員が作品をピックアップ。それぞれの「眼」で作品を読み直します。

■現代アーティスト9名が、時空を超えたコラボレーション!

札幌を拠点に活躍する現代アーティスト9名が作品を選び、自作と共に展示します。

■学芸員10名が、調査しまくり、書きまくる!

当館学芸員10名がコレクションを選び、調査・研究により明らかになった作品の新たな一面をテキストと展示でお伝えします。

出展作家

現代アーティスト × コレクション

伊藤隆介×箱館焼、今村育子×三岸節子、大黒淳一×林竹治郎、風間天心×林竹治郎・俣野第四郎、樫見菜々子×杉山留美子、鈴木涼子×深井克美、高橋喜代史×花田和治、武田浩志×佐々木徹、端聡×砂澤ビッキ

学芸員 × コレクション

学芸員×青山熊治・イモンパウク・上野山清貢・小川原脩・片岡球子・木路毛五郎・栗谷川健一・小寺真知子・藤戸康平・筆谷等観

概要

北海道立近代美術館は現在、約6,000点の作品を収蔵しており、そのなかで「北海道の美術」は3,100点に及びます。本展ではこの「北海道の美術」コレクションをふたつの角度から活用します

 ひとつは、CAI現代芸術研究所/CAI03(札幌)の協力を得て、現代アーティスト9名がそれぞれ関心のある作品をピックアップし、自身の作品とともに展示します。過去の作品と現在の作品が、アーティストの眼と思考を通して関係づけられ、展示空間にいわば化学反応が起こることを期します。

 もうひとつは、当館の学芸員10名が、同じく関心のある作品を選び、調査研究を深め、その成果を展示とテキストによりお伝えします。展示空間は、作品のテーマや歴史的な位置づけの掘り下げが共有される場となります。

 オーストリアの文学者シュテファン・ツヴァイク(1881-1942)は、歴史上のある人物が創造的な役割を果たした決定的瞬間を、星のように輝く“Sternstunde”(星の瞬間)と呼びました。本展は、アーティストと美術館学芸員の複眼的なアプローチによる「北海道の美術」コレクションの読み直しを通して、過去の「星の瞬間」を明らかにするとともに、未来の「星の瞬間」の創出をねらうものです。

 なお、北海道立近代美術館は2023年7月、リニューアルに向けて「目指す姿」を掲げました。本展はその実現のために設定されたコンセプトである「コレクション」「リサーチ」「コラボレーション」の実践でもあります。

主催

北海道立近代美術館

企画協力

CAI現代芸術研究所/CAI03

後援

札幌市、札幌市教育委員会

同時開催

変貌する20世紀ヨーロッパ・ガラス プロダクトへ、アートへ

20世紀のヨーロッパでは、生活を美しく演出するガラス製品(プロダクト)が大量に生産されました。作家性が強いガラス作品が盛んに発表されるようになったのも20世紀のことです。ヨーロッパ・ガラスの変わりゆく潮流をご覧ください。

会場:北海道立近代美術館展示室A 2階

主催:北海道立近代美術館 後援:札幌市、札幌市教育委員会

観覧料

「星の瞬間 アーティストとミュージアムが読み直す、Hokkaido」展/【同時開催】「変貌する20世紀ヨーロッパ・ガラス プロダクトへ、アートへ」展共通

一般:1,200(1,000)円、高大生:700(500)円、小中生300(200)円、未就学児無料

( )内は10名以上の団体、リピーター割引、アートギャラリー北海道相互割引料金。
※リピーター割引料金は、道立美術館・芸術館で開催された特別展の半券をご提示いただいた場合の料金(有効期限は半券に記載)。
※アートギャラリー北海道相互割引は、当館で相互割引実施館の半券をご提示いただいた場合の料金。
※上記2つの割引については半券1枚につき、お一人様1回限り有効。
※身体障害者手帳や療育手帳、精神障害者保健福祉手帳をお持ちの方(ミライロID利用可)及びその介護者(1名)などは無料。
※未就学児は要保護者同伴。

12月8日(日)まで、展示室A受付にて前売り券を販売中です。

関連事業

開会式&パフォーマンス

日時:1月5日(日)9:10~9:30
会場:当館1階ホール(参加無料、申込不要)
口上パフォーマンス:祭太郎氏(アーティスト)


祭の妖精・祭太郎

1977年、北海道札幌市生まれ、名寄育ち。現代美術家、鍼灸師

1998年に公共の路上で突然一人で受け身をとる身体パフォーマンスを開始する。

このパフォーマンスは、痛みを伴う様子を撮影し、周囲のリアクションを含めた映像作品としてギャラリーで発表される。2002年には、とかち国際現代アート展デメーテルに参加したことを契機に、「祭の妖精」としての媒介者というコンセプトを基に「祭太郎」というキャラクターを創出し、表現活動を開始する。2003年から2024年にかけて、RISING SUN ROCK FESTIVAL in EZOの道沿いで応援口上パフォーマンスを20年間続けている。2010年には鍼灸師の免許を取得し、北海道鍼灸専門学校の臨床センターにて主任として5年間勤務する。
2015年に合同会社maturiを設立し、2018年には札幌市内に「はり・灸・アトリエ 祭林堂(まつりんどう)」をオープンする。

現在は治療家、美術作家、パフォーマーとしての活動を両立し、自身のアイデンティティを深めるための活動を行っている。祭の妖精・祭太郎は、身体と芸術の融合を追求し、その多様な活動を通じて多くの人々に刺激と新たなインスピレーションを提供している。


 

Meet & Greet☆アーティスト・サタデー

参加アーティストが来館し、自作についてお話します。
日時:2月8日、15日 いずれも土曜日 13:30~(1時間程度)
会場:両展示室(要観覧券、申込不要)

参加アーティスト(予定)
2月8日:風間天心
、樫見菜々子、鈴木涼子、武田浩志
2月15日:伊藤隆介、今村育子、大黒淳一、高橋喜代史、端聡

Talk & Talk☆キュレーター・サンデー

学芸員がリレー形式で、コレクションについて解説します。
日時:1月12日、19日 いずれも日曜日 14:00~(1時間程度)
会場:両展示室(要観覧券、申込不要)

道銀文化財団 Art Ensemble ♯22・23

❶音降りそそぐ夜に~3種のオーボエとマリンバで~
日時: 3月1日(土) 18:30~19:10
出演: 太田駿祐氏(オーボエ)&橋本涼平氏(マリンバ)


❷春の彩り~クラリネット、ファゴット、ピアノの音色にのせて~
日時: 3月8日(土) 18:30~19:10
出演: 朝倉愛氏(クラリネット)&清水彩会氏(ファゴット)&永井花帆氏(ピアノ)


会場: ❶❷いずれも当館1階ホール(ハガキによる抽選)

おしゃべりアートwithSAC

日時:2月1日(土) 10:30~/14:30~(各回30分程度)
ご案内:札幌アートコミュニケーターズ(SAC)

Cafe Marley近代美術館店とのコラボメニュー&小展示

美術館2階にある、Cafe Marley近代美術館店とコラボレーションし、「星の瞬間」展にちなんだ限定メニューをご提供します。

さらに、展覧会参加アーティストの小品を展示します。

現代アーティスト × コレクション

伊藤隆介×箱館焼

伊藤隆介

1963年、札幌市生まれ。美術家・実験映画作家。
東京造形大学在学中に映像作家・かわなかのぶひろに師事、実験映画やビデオアートの制作を始める。
1992年、シカゴ美術館附属大学大学院研究科修了。


作家コメント

「箱館焼」は、江戸時代末期に箱館奉行所が美濃焼の陶工を招聘して作られた陶磁器です。
愛知県豊田市付近の製造業のビジネスモデルの移植をめざした、今日も変わらぬ官主導のベンチャー的な事業で、絵柄も蝦夷地らしい風景や先住民族など、現代のインバウンドのマーケットを思わせるエキゾチックなものが多く、この湯呑茶碗にも樺太(サハリン)の風景が魅力的なディティールで描かれています。
図案は様式的で陶工たちが実景を訪れたのかは不明ですが、映画の発明以前の人々が喫茶と共に北方の絶景を夢想したように、自作ではその風景の中を観光します。同時に当時とその後の地政学、北海道の歴史についても記憶を共有できればと思います。


 

今村育子×三岸節子

今村育子
1978年、札幌市生まれ。美術家。
2006年より、物事の「間」についての関心から、明るい部屋から暗い部屋へ滲みでる光、ドアの隙間から漏れる光など、相対する関係の間に発生する光のグラデーションをモチーフにインスタレーション作品を制作する。


作家コメント

どうやら私の臍はお腹の中の子どもにつながっていないらしい。妊娠して、自分ではない存在が身体の中で動いている体験を経て、お腹の中は内側のようで実は外側だったと気づいた。そこからチューブ状の臍の緒が閉じてできたくぼみが、カルデラ湖や水たまりと重なっていく。水たまりに映る風景は、上下逆さまになりヒエラルキーの反転を感じられる存在だ。
そして今回の2つの部屋は、明るい部屋が自身の内側で、暗い部屋が自身の外側の世界として、内と外とを往来する装置となる。

摩周湖は川につながっていないため大きな水たまりとされている。また三岸節子が《摩周湖》を制作した際にインスピレーションを得て、北海道に220点の三岸好太郎作品を寄贈し、それを機に1967年北海道で初めての美術館〈北海道立美術館〉が誕生した契機となった作品である。どうやら私と三岸は臍で繋がってしまったようだ。


今村育子《反射する部屋》2022年 ※参考作品
今村育子《反射する部屋》2022年 ※参考作品
今村育子《出産ビフォーアフター》2024年 撮影:山岸 靖司 ※参考作品
今村育子《出産ビフォーアフター》2024年 撮影:山岸 靖司 ※参考作品
三岸節子《摩周湖》1965年
三岸節子《摩周湖》1965年

大黒淳一×林竹治郎

大黒淳一
1974年、札幌市生まれ。サウンドメディアアーティスト・作曲家・プロデューサー。
幼少期から作曲を始め、国内コンテストで全国グランプリを受賞。
2006年にベルリンへ渡独し、SONYやユニクロのCM、北京オリンピックや上海万博の音楽プロジェクトなど多彩な活動を展開。
立体音響設計や現代美術作品の発表も行い、札幌国際芸術祭2017など国内外の芸術祭や展覧会に出展。


作家コメント

これは運命だったのかもしれません。
今回、林竹治郎《積丹風景》の作品を選定する直前に偶然にも彼が描いていた神威岬近くの場所で私も環境音を収録していました。
更にこの絵画は完成後100年という区切りの時をこの展覧会で迎える作品でもあり、何か運命的なものを感じざるを得ませんでした。

作品選定後に改めて積丹で彼の足跡を辿り、描かれた風景周辺の場所で環境音を立体音響として収録しました。
林竹治郎の描いた風景から見ると100年後の音の世界。私の立体音響作品から見ると100年前に描かれた風景画です。
同じ場所だけど時代が違う絵画と音。私たち人間にとって100年とは生死を考えるべき長い時間ですが、悠久の自然にとっては一瞬の出来事かもしれません。
この作品空間では100年前を視覚で感じ、100年後を聴覚で感じる、そんな時間と肉体のパラドックスが交わる瞬間が生み出されています。
そして100年後の2125年にもこの作品が体験できることを願っています。


 

風間天心×林竹治郎・俣野第四郎

風間天心
1979年、東川町生まれ。僧侶/美術家。
2008年、武蔵野美術大学油絵コース大学院を修了。2009年、大本山永平寺での修行を終え、2011年、武蔵野美術大学パリ賞によりパリ市「Cité Internationale des Arts」に滞在。
日本古来の文化風習にみられる「信仰と芸術」の相互作用を求めて、国内外で多様な活動を続けている。


作家コメント

「そもそも表現とは何処へ向けられたものであるか。」

この問いに向き合うために私は、一表現者であり、一宗教者でもあります。

日本人は縄文期より、ありふれた日常生活の中にこそ信仰を宿そうとしてきました。その精神性は、民藝をはじめとした表現物の中に結ばれており、俣野の静物画には、まるで「神様への捧げ物」のような静謐さがあります。

この「表現と信仰の和」は、明治期に輸入された「芸術(Art)」「宗教(Religion)」の西洋概念によって断ち切られてしまいましたが、作品「朝の祈り」には、その余韻がまだ残されています。

今展覧会では、表現者の中に芽吹く「目に見えない信仰」そして、表現物に宿る「崇高なる求道心」をテーマにおきました。


 

樫見菜々子×杉山留美子

樫見菜々子

1980年、神奈川県川崎市生まれ。
2000年、北海道女子大学短期大学部工芸美術学科(現・北翔大学)卒業。
美術家

ある出来事に遭遇した時に起こる、意識が違う時間軸に持っていかれる感覚になった一時に立ち現れる、境界や潜む気配、痕跡、時間について考察し、主に自然物をモチーフとしてインスタレーションや平面作品などを制作している。


作家コメント

「光に満ちた世界はどうやったらつくり出せるのか」を研究していた杉山さんの絵の前に立つと、絵から発せられる光の空間の中で、自分を取り巻く要素の一切をなくした状態の、何者でもない自分がただそこにいる、という感覚になる。杉山さんが描いていたのは「人間の精神あるいは魂が放つ光」であり、まだ見ぬ未来の光を追い、捉えようとしているように感じる。
自身の作品は、消えてしまった存在の残していった光(影)を再び立ち現そうとしたもので、過去の残像を追っている。それぞれに見ようとした(見た)光は、時間も状況も精神も違うけれど、同じ空間に置いた時にどのような作用が生まれるのだろうか。
宇宙にまで想いを馳せながらキャンバスと向き合う杉山さんの後ろ姿と背を合わせて自分は、狭い視界で窓枠の出来事と向き合っている、そんな姿を思い浮かべた。


 

鈴木涼子×深井克美

鈴木涼子
1970年、札幌生まれ。2007年、文化庁の新進芸術家海外研修員としてドイツで1年間研修。美術家。
ジェンダーやセクシャリティなどをテーマに、自意識や人間の欲望、社会の歪みに焦点をあてた作品を制作。国際的にも高い評価を得ている。


作家コメント

「母親」を命題にした作品は世の中に数多く存在している。
その肉体に包まれて10ヶ月もの時間を共に過ごす母と子の絆は奇跡のようだと思う。

不思議なことに、母が亡くなって丸3年過ぎるのに彼女の存在は私の中でますます色濃くなっている。
母が居なくなった当初は、メモに残されていた膨大な言葉を読むことさえ辛くて放置していた。
しかし時間の経過と共に、母の最後の悩みや、苦しみの言葉を、私なりの方法で追悼するべきではないかと思うようになった。

母の残した言葉を、白い糸で縫い上げて、綴じて、また真っ白な状態に戻してあげる。
もう苦しみも悩みもない所で、肉体という重荷から解き放たれて自由になる。
私自身が忘れないために、、、またそれが母との最後の共同作業であり、私なりの追悼だと思いたい。

深井克美もまた30歳で自死に至るまで母との絆は強固で、最初に描いた女性像も母親であった。
「ぼくは何かかあさんに書きたかったが、何もないので指で壁に『サヨナラ。』『ゴメンネ。』『許してください。』と何度も何度も書いた。そのうちに何もわからなくなってしまった。」

深井克美「おれがあいつだったら・・・・・・・・」『われらは今』異数社、1971年1月1日より


 

高橋喜代史×花田和治

高橋喜代史
1974年、妹背牛町生まれ。美術家/一般社団法人PROJECTAディレクター
「言葉の多面性」を立体作品と映像作品で考察。近年は地域や社会の問題に、個人の心情を重ねた映像インスタレーションを発表している。フランス、ニュージーランド、北アイルランドでの個展。カナダ、ドイツ、中国でのグループ展など、札幌を拠点に国内外で活動。


作家コメント

花田和治さんの《手稲山》を見た時に、そこ抜けの明るさ、ほがらかさ、おおらかさ、しかし考え抜かれたシンプルで力強い構図と配色、そして、いいと思った理由を簡単に言語化できない懐の深さに奥行きのある魅力を感じた。カラッとしたような気持ちのいい作家だったのかな、自然も丹念に見つつ何枚もスケッチしたのかな、エルズワース・ケリーなど海外作家の動向にも目を配っていたのかな、それより自分の感性に真っ直ぐ向き合っていたのかなとか、勝手に想像している時間も楽しかった。この作品と競演できたら楽しそうだなと思った。
私は一貫して、言葉や文字にまつわる作品を制作している。2007年の道立近美「Born in Hokkaido」に呼んでもらい《Fujiyama》という山をモチーフにした立体作品を展示した。あれから18年たつが、今作《わたし山》も山がモチーフだ。どうして私は山を選び、山を作るのか。山がもつ多面性と、言葉の多面性が重なり、それが人生に重なってみえる。私は山を通して人生というものを考えてみたいのだ。


 

武田浩志×佐々木徹

武田浩志

1978年、札幌市生まれ。
2003年、北海道教育大学芸術文化課程美術工芸コース卒業。
美術家

蛍光色を用いた鮮やかな色層と透明メディウムを繰り返し重ね、そこに印刷物やラメ、金箔などを織り交ぜた絵画作品を主として制作する。


今作は「portrait」シリーズの最新作で、額装された絵画とモニターを対で見せるという新たに取り入れた展示方法を採用しています。複雑に絡み合った絵画の構造を紐解くため、また実現できなかった表現を追求する場として映像を活用し、作品にさらなる深みをもたせました。
今回、佐々木徹さんの作品イメージも使わせていただいています。佐々木さんは私が札幌で最も影響を受けた作家の一人です。初めてグループ展でご一緒した際、「TAKEDAsystem」での個展開催をお願いしたところ、快く承諾してくださり、2006年に道立近代美術館で開催された「FIX・MIX・MAX!」内で「TAKEDAsystem vol.007 佐々木徹個展『対話する0と1』」が実現しました。
それから19年ぶりに再びご一緒できて、本当に光栄です。徹さん、今回の作品どうですか


 

端聡×砂澤ビッキ

端聡

1960年、岩見沢市生まれ。
1995年、ドイツ政府管轄ドイツ学術交流会の助成によりドイツに滞在。
美術家


作家コメント

砂澤ビッキ氏作の《風》に感銘しました。
《風》は札幌芸術の森野外美術館にもシリーズ作品があり、「風」シリーズの根幹に流れるコンセプトは共通していると私は思っています。札幌芸術の森野外美術館の同シリーズ常設展示は設置から30年以上経過し、彼の生前の意図を汲み、自然の成り行きに任せ、「風雪という名の鑿(ルビ:のみ)」によって変化し続け、現在は、その多くが土となり母なる大地に還っています。北海道立近代美術館の《風》も遥か未来の数千年後、数億年後には大地に還っているのかもしれません。
今回、砂澤ビッキ氏の自然素材に対する姿勢が、僭越ながら私自身の考え方と共通することを感じ、私は同じく自然素材である鉄を使いました。地球の比重の三分の一が鉄であることから、鉄もやがて母なる大地に還ることを望んでいる気がしたのです。


 

学芸員 × コレクション

洋画家・青山熊治の北海道虻田村滞在と《アイヌ》

  • 執筆
    • 河本真夕(学芸員)
  • コレクション
    • 青山熊治《アイヌ》1910(明治43)、油彩・キャンバス
    • 青山熊治《アイヌ青年白鳥権治の像》1911年(明治44)、油彩・キャンバス

イモンパウクの《盆》:どこから来たのか、何者か、どこへ行くのか

  • 執筆
    • 中村聖司(学芸副館長)
  • 北海道博物館コレクション
    • 《盆》カツラ、北海道博物館蔵
      写真提供:公益財団法人アイヌ民族文化財団

筆谷等観 小樽から近代日本画創造の本拠地へ飛びこんだ道産子

  • 執筆
    • 土岐美由紀(主任学芸員)
  • コレクション
    • 筆谷等観《春寒賜浴》1924年(大正13) 、 絹本彩色 ・軸
    • 横山大観・下村観山《陶靖節(幽篁弾琴・見南山図) 》 1919 年(大正8)絹本彩色・軸
    • 横山大観《秋思》1898 年(明治31)、 絹本彩色 ・軸

上野山清貢 南の島に何を求めたのか

  • 執筆
    • 薗部容子(リサーチ推進課長)
  • コレクション
    • 上野山清貢《ある夜》1928年(昭和3) 、油彩・キャンバス
    • 上野山清貢《とかげを弄び夢見る島の乙女》1924年(大正13) 、油彩・キャンバス

小川原脩―シュルレアリスムの時代

  • 執筆
    • 光岡幸治(上席専門員)
  • コレクション
    • 小川原脩《雪》1940年(昭和15)、油彩・キャンバス
    • 小川原脩《男と白鳥》1939年(昭和14)、油彩・キャンバス

《家路》からたどる栗谷川健一のポスター制作プロセス

  • 執筆
    • 野田佳奈子(主任学芸員)
  • コレクション
    • 栗谷川健一《家路》1962年(昭和37)、オフセット・紙
    • 栗谷川健一《川に憩う》1959年(昭和34)、オフセット・紙
    • 栗谷川健一《十勝川温泉》1960年(昭和35)、オフセット・紙
    • 栗谷川健一《落陽の平原》 1973年(昭和48)、 オフセット・紙

木路毛五郎―「疎外された人間」と美術運動―

  • 執筆
    • 門間仁史(企画推進課長)
  • コレクション
    • 木路毛五郎《虚と実》1970年(昭和45)、油彩・キャンバス
    • 荒井善則《林の中の20枚の板 2》1983年(昭和58)、シルクスクリーン・布
    • 一ノ戸ヨシノリ《国旗》1970年(昭和45)、日米国旗、鏡2枚、鏡スタンド、木製テーブル2台、テーブルクロス2枚

片岡球子の「面構」―その構造を分析する一試論

  • 執筆
    • 星野靖隆(学芸員)
  • コレクション
    • 片岡球子《面構 浮世絵師歌川国芳と浮世絵研究家鈴木重三先生》1988年(昭和63)、紙本彩色
    • 片岡球子《面構 一休さま》2000年(平成12)、紙本彩色
    • 片岡球子《葛飾北斎》1976年(昭和51)、紙本彩色
    • 片岡球子《雅楽(女神と胡飲酒)》1967年(昭和42)、紙本彩色

彫刻家への衝動 小寺真知子

  • 執筆
    • 久米淳之(上席専門員)
  • コレクション
    • 小寺真知子《アウローラ》1991年(平成3)、ブロンズ

ひとと共に、ひとを思うものづくりを。 藤戸康平のあゆみと《Singing of the Needle》

  • 執筆者
    • 村山美波(学芸員)
  • コレクション
    • 藤戸康平《Singing of the Needle》2021年(令和3)、鉄、鹿の頭骨、アクリル絵具