北海道立三岸好太郎美術館

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《オーケストラ》1933(昭和8)年 北海道立近代美術館蔵 ⓒMIGISHI

特別展

特別展 線が、息づく。 好太郎の線、鈴木ヒラクのドローイング

Living Lines: Painter Migishi Kotaro meets Artist Suzuki Hiraku

  札幌生まれの三岸好太郎(1903-1934)は、同時代の新しい潮流に敏感に反応しながら、前衛的表現に意欲的に挑戦した画家です。なかでも、柔らかい絵具の上からひっかくようにして線をあらわし、交響曲の演奏風景を表現した《オーケストラ》には、線描家としての好太郎の資質が最も洗練された姿で表出されています。
  鈴木ヒラク(1978年生)は、未知のかたちと出会い続けようとする現代のアーティストです。身近な環境の中で発見した解読できない記号のようなかたちを媒介として、光を反射するマーカーやスプレーによる即興性の高いドローイングを実践します。それは、世界にひそやかに存在する未知の「なにか」に、自らの身体を介してアプローチし、掘り起こそうとする行為だといえます。北海道余市町のフゴッペ洞窟や小樽市の手宮洞窟は、鈴木ヒラクに重要なインスピレーションを与える場です。
  本展では、鈴木ヒラクがゴッペ洞窟に足を運んだ後、1920‐30年代に描かれた三岸好太郎の絵画を展示する空間において、2日間をかけて新たにドローイングを行ないます。フゴッペ洞窟の壁画の写真や、鈴木ヒラクがフィールドワークした同壁画をふくむ世界各地の洞窟壁画のスケッチも紹介するとともに、地域の高校生とドローイング制作の場を共有するワークショップも行います。
 画家・三岸好太郎。アーティスト・鈴木ヒラク。先史時代の洞窟壁画。本展は、時代も地域も異なる三者の芸術を接続するものとして、「線」という表現に焦点を当てます。近代絵画、現代アート、先史遺跡のあいだを通いあう、みずみずしい「線」の息吹を感じていただければ幸いです。


 

会期 2025.09.06(土) - 2025.11.24(月)

次回開催の展覧会

《筆彩素描集『蝶と貝殻』より 表紙》1934(昭和9)年

コレクション・ギャラリー

第4期所蔵品展「ふたりの『悪童』-美術史家・外山卯三郎と好太郎」

  札幌に生まれ、幻想的イメージの世界を切り開いた画家・三岸好太郎(1903-1934)。その画業は、新しい表現への果敢な挑戦の連続でもありました。その挑戦に示唆を与えたと考えられる存在のひとりが、美術史家・外山卯三郎(1903‐1980)です。外山は、北海道帝国大学(現・北海道大学)予科に学び、ダダイズム的絵画を発表したり詩と創作版画の雑誌『さとぽろ』創刊に携わるなど、札幌画壇に忘れられない足跡を記しました。
 ふたりは、東京で、独立美術協会の創立会員と、同協会を支援する美術史家として出会います。『詩と詩論』に拠る詩人であると同時に、同時代のヨーロッパの画家から日本近世の円山応挙まで、幅広く視野に収める卯三郎。好太郎は、外山邸を訪ねては書斎の蔵書を読みふけったと伝えられています。
 「悪童」とは、好太郎が自らの小学生時代を振り返って自筆年譜に記した言葉です。過去のスタイルにこだわらずに作風を変えていく好太郎の姿は、他の画家からは「悪童」に見えたかもしれません。また、札幌に20世紀前衛美術の旋風を巻き起こした卯三郎もまた、北海道帝大の教授陣には手の焼ける「悪童」であったかもしれません。「新しいものに挑戦する」というスピリットにおいて、ふたりは共感しあえる存在だったのではないでしょうか。
 好太郎の代表作《筆彩素描集『蝶と貝殻』》には、外山が序文を寄せており、ふたりの親密な交友がうかがえます。好太郎と美術史家・外山卯三郎との交友を跡付けながら、代表作「蝶と貝殻」の連作へと至る画業の軌跡を、ご覧いただきます。

会期 2025.12.06(土) - 2026.03.26(木)

これからの展覧会

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