コレクション・ギャラリー
第4期所蔵品展「『匂ふやうな灰色』―好太郎・乳白色の世界へ」
札幌生まれの画家・三岸好太郎(1903-1934)は約10年余りの短い画業の中で、時代の新しい潮流に敏感に呼応しながら、目まぐるしく作風を変化させました。しかし色彩に注目して画業を概観するとき、地道な探求の軌跡が浮かび上がってきます。
画業初期には、赤系の色彩と緑系の色彩を並置し、明暗の対比により画面を構成。やがて異なる色彩を重層させ、下にある色彩と上から重ねた色彩が響きあうような、色彩の効果を追及していきます。このようにして生みだされる乳白色を、好太郎の妻で画家の三岸節子は「匂ふやうな灰色」と表現しました。この乳白色は、風景画のみならず、ひっかき技法による表現の地や、幾何学的構成を支える地ともなり、画業後半を特色づける重要な色彩となっています。
激しい振幅を見せる画業の展開の中で、地道に積み重ねられ、深化していった好太郎の色彩の世界。この機会にどうぞご覧ください。
会期 2024.12.14(土) - 2025.04.18(金)