道立旭川美術館は、昭和57年7月に、旭川市民いこいの場である常磐公園内に開館しました。
道北地域の美術文化の拠点として、地域ゆかりの美術から国内外の美術まで、多彩な展覧会を開催し、地域に根ざしたさまざまな普及活動を行っています。
当館の特色として、森林資源に恵まれ、家具・木工産業なども盛んな地域であることから、木の造形作品(国内外の作家による木彫、木工芸、椅子など)の収集を行っていることがあげられます。また、道北地域にゆかりのあるすぐれた作家の絵画、版画、彫刻、工芸作品などを多数収集しています。

【目的】
　道北地域における文化活動の拠点として、幅広く美術文化を紹介・普及することにより、地域文化に潤いと深みをもたらし、文化創造への活力を高めます。

【運営方針】

目的を達成するため、次の方針に基づき館を運営しています。

Ａ 優れた作品の収集と保管

「道北の美術」及び「木の造形」を収集の柱とし、地域性と国際性を兼ね備えた系統的なコレクションの形成を目指します。また、IPM（総合的有害生物管理）の進展や収蔵スペースの狭隘化、当館施設・設備の老朽化等を踏まえながら、適切な作品取扱と保管環境の整備・保持に努めるとともに、活用と保存を視野に入れた計画的な作品修復に取り組みます。

Ｂ 多彩で特色ある展示活動の充実

コレクションの展示にあたっては、道民の財産の価値を広く社会に共有する最重要の機会と位置づけ、その魅力と調査・研究の進展を伝えるように工夫します。また、特別展では様々な鑑賞のニーズに応えるとともに、人間と文化の多様性について理解を深める機会となるように、幅広い時代と分野のアートを紹介します。特に自主企画において、独自性と普遍性を兼ね備えたテーマ設定とその掘り下げにより、作品の新たな価値の発見に取り組みます。

Ｃ 学習の場と美術情報の提供

個人の成長や年齢、個性に応じたラーニング・プログラムを、コレクションや展示内容、調査・研究成果と関連させながら企画・実施します。また、コレクションのデジタル・データ化とその公開を進めるとともに、ウェブ上の諸媒体の活用に努め、情報の利便性と内容の魅力の向上に取り組みます。

Ｄ 活動の基礎となる調査・研究の推進

美術及び美術館活動に関する調査・研究を、これまでの蓄積と新たな知見の上に立って推進し、活動全般の信頼性と創造性を向上させます。調査・研究の成果については、展示の企画や出版等様々な形で公開・発信し、社会に還元します。また、調査・研究他、学芸員の力とスキルの向上のために、様々な研修への参加を進めます。主として「道北の美術」及び「木の造形作品」についての調査研究を行います。また、美術館活動についての研究を行います。

Ｅ 多様な主体との連携・協力による地域の活力向上

道北地方における中核美術館として、アートギャラリー北海道を推進します。また、地域の美術館や博物館、学校、諸団体等と互恵的な連携・協力関係を保持し、互いの強みを活かしながら、利用しやすさの向上、多様な学びの機会の創出、市民との協働等を実現して、様々な教育・文化活動の振興を支えます。

Ｆ 安全で快適な滞在環境の提供

職員一人ひとりが常に来館者の目線に立ち、安心・安全に充実した時間を美術館で過ごしてもらえるように、委託業者やボランティア団体と連携しながら施設の適切な維持管理とくつろぎの空間としての魅力向上に努めます。また、施設・設備における老朽化や不備の顕在化、美術館に対する社会の期待の多様化・高度化、共生社会の志向の高まり、様々な領域におけるDXの進展等の変化をふまえ、利用者サービスと美術館運営の持続可能性実現に取り組みます。